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QCDで検討できない5つの理由

市場環境の変化により、スペックだけでの検討は以前より難しくなったと思います。実績やブランドイメージが与える影響が大きくなったのです。

QCDで検討できない5つの理由

知識のたこつぼ化

技術の専門化・細分化や多様化によって専門領域以外の技術の価値を正しく評価することが難しくなっています。また、様々な要素技術を組み合わせてつくる完成品では1つの部品の不具合が与える影響が想像以上に広範囲に広がるケースも出ており、そのことがさらに判断を難しくするのです。高度な専門分化はある時期まで大きな成果を上げていましたが、それらが過度な専門家と知識のたこつぼ化の原因かもしれません。

技術過多

調達先のグローバル化とインターネットの普及、技術領域の拡大、技術の進歩によって技術情報は増え続けています。多すぎる選択肢はかえって混乱を招く原因にもなり、無難な選択への誘惑が大きくなります。そのために取引実績や知名度のある企業が選ばれやすくなりがちです。

プロダクトライフサイクルの短縮化

プロダクトライフサイクルの短縮化によって、研究・開発のスピード化が進んでおり、個々の部品・モジュール・ソフトウェアの検討に以前ほど時間が取りずらい。スピーディーな開発が求められる結果、じっくり技術評価する時間が以前ほど取れなくなってきているのです。

複数よる検討

生産財の購入は高額な設備やキーデバイスなど重要なものほど購入関与者の人数が増える傾向があります。組織的な検討になればなるほど純粋に技術やスペックによる比較だけで選定されなくなるケースが増えるのです。技術以外の理由で選択を行うメンバーが増えて来るのです。

リスク評価

原材料や部品などは定期的な購入になることが多く、取引金額や購買量も多くなります。そのため製品購入の失敗リスクをできる限り回避するために使い慣れた技術や信頼のある会社を選択する傾向がある。そして長期取引を志向します。スペック変更によるメリットよりもリスクを重視されることも忘れてはなりません。

これらの理由で一般に思われる以上に、スペック以外の要素の影響が大きいのです。だから製造業にもマーケティングが大切なのです。

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