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ボトルネックは工場の外にある

おはようございます。
昨日は「【事例で学ぶ】引合いを集める製造業のWebサイト」というタイトルで日刊工業新聞社でセミナーを行いました。夜遅くまで受講ありがとうございました。昨日はTOC理論を使ってWebサイトの成功事例を解説しました。

ボトルネックは工場の外にある

最優先課題はどこにあるのか?

ものづくりに磨きをかけることは製造業の根幹です。だから製造すべての工程のボトルネックを見つけ出し製造に流れを作り、仕掛品を無くし、リードタイム短縮することは競争力の源泉になります。しかし、事業全体を俯瞰すると業績の足を引っ張るボトルネックは工場の外にもあります。例えば工場から最終市場までの物流が大きなボトルネックかもしれません。また、革新的な製品開発ができないことがボトルネックの場合もあるでしょう。あるいは開発も製造も物流にも問題がなく販売力がボトルネックかもしれません。ボトルネックのスピードより速く物は流れません。いくら速く物が作れてもボトルネックがあると滞留が起こり、せっかくの強みも生かし切れなくなるのです。

認知度がボトルネック

紹介した事例では新規ユーザーに知られてないことがボトルネックでした。決して大きな製造業ではありません。マスメディアを使った宣伝は現実的ではありません。うまく使えてないWebサイトに再チャレンジすることにしました。検索エンジンを活用し新規見込み客を集客すると同時にWebサイトリニューアルを行いました。はじめての人でも分かりやすいWebサイトに改善したのです。(それから改善の積み重ねを3年以上続けました)幸運なことに新聞3誌に取材され記事になり、自治体からの支援も得ることができ、見本市への出展も実現しました。認知度がボトルネックでなくなったのです。

品質が新しいボトルネックに

Webサイトでの宣伝により大手企業からの引き合いが生まれるようになると新しい問題が生まれました。これまで以上の品質レベル求められるようになったのです。そこで今度は工場の品質向上に取り組み生産設備、製造工程、品質管理体制、社員教育、ISO取得し大手企業が求める品質を提供できるよう体質を変えました。ここでも時間をかけボトルネックの解消に取り組まれました。(ここは専門分野ではないのでお話を聞かせて頂いただけです)

営業効率が再びボトルネックに

認知度向上により引合いが増え、これまでにない厳しい品質要求も乗り越えたら、今度は数多くの引合に対応しきれないこと、営業効率、営業業務の効率にボトルネックが移りました。引合のミスマッチを減らすことが新たな課題です。そのために販売代理店の整備、製品カタログの充実、Webサイトの充実という取り組みに取り掛かります。

まとめ

会社のボトルネックは工場の外になるかもしれません。「開発、製造、物流、販売」全体を通してボトルネックを解消しないと物の滞留は改善されません。そしてボトルネックが解消されたら新しいボトルネックが生まれます。

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