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生産財のマーケティングは長期戦略が原則

おはようございます。
生産財はどんなに良いものでも必要なければ購入されません。「そんなことは知っている。」ツッコミが入りそうですね(笑)。品質が良くても必要のないものは購入しないのは当然です。しかし、必要なら確実に売れるのでしょうか?そんなことはありません。必要なものを必要なタイミングで適切な価格なら買ってもらえるのです。顧客はベストのタイミングで一番いいものを選びたいのです。モノづくりではいつもQCDを大切にしています。その大切なQCDを営業やマーケティングに活かせばいいんです。そんなことを書こうと思います。

生産財のマーケティングは長期戦略が原則

タイミングが大切

いくら良いものでも必要なものでも時期を逃すと選んでもらえません。逆にうまくタイミングが合えばとんとん拍子に商談が進むこともあります。しかし生産財は検討が水面下で行われ、ユーザーはこっそり情報収集を重ねることが多いのです。そして最終段階で少しでも有利な条件で購入しようと数社に引合を出すのが一般的です。事前にタイミングをつかめればいいのですが、面識のない見込み客の場合それは困難です。

機会ロスをなくす

だからこそ機会を逃さないために定期的に情報発信することが大切なのです。そのためにはより多くの接点を持つことが大切。キーマンと面識があれば安心というのは楽観的すぎるかもしれません。第一重要な設備など生産財はキーマン一人で調達先を決めることはないのです。複数の人間がそれぞれの立場で吟味を重ね検討が進んでいくのです。ユーザーは市場での競争力を少しでも高めるために必死です。取引先からの情報、出入りする営業からの情報だけで大切な生産財購入を決めるとは限らないのです。代理店、自社営業という人的な接点だけでなく、展示会、新聞、雑誌、カタログ、セミナー、業界内での評判、メールマガジン、情報サイト、そしてWebサイトなど顧客との接点をいかに多く持つかそして、一貫したメッセージを伝えられるかが大切です。検討時期のセールスは歓迎されますが、タイミングが悪いとしつこいセールスと受け取られてしまいます。検討のタイミングは短く、調査・情報収集の期間は長いのです。基本セールスは売り込みとして敬遠されます。調査・情報収集中の見込み客には必要な情報を提供することが大切です。人によるハードな接触は本気で購入検討するときに効果的。そして、情報収集段階ではWebサイトをはじめとしたソフトタッチの情報提供が有効です。

顧客フォローは全社で行う

顧客とのコミュニケーションは営業マンに任せる。顧客への情報は営業が伝えるのが普通です。しかし、情報によっては他の方法のほうが良く伝わったり、効率的だったりすることもあります。顧客とのコミュニケーションが営業のみだと少し安定感に欠けるのです。すべての顧客に定期フォローできないこともありますし、ノルマ達成のためにセールスを優先してしまい顧客フォローが疎かになることもあるでしょう。そして情報は「誰から聞いたか?」「どこで知ったか?」によってニュアンスも変わります。個別の説明が必要な場合もあれば、同時にすべての顧客に案内する必要がある場合もあるでしょう。顧客とのコミュニケーションの中心を担うのは営業!というのは思い込みかもしれません。会社全体で顧客との接点を増やすことが大切なのです。営業部以外の部署も顧客のところに行ってもいいのです。開発エンジニア、サポートスタッフ、経営者自身が顧客のところに出向くことも有効です。また、定期的にメールマガジンや社外報を発行して顧客に役立ちそうな情報を発信することも大切です。ネットを使う場合も情報によってWebサイトやTwitter、Facebook、ブログを使い分けることもあるでしょう。
  • お客様に何をつかえたいか?
  • 何を使ってどう伝えたらいいか?
時には検討してもいいのと思います。

状況によって変える接点

そうです。状況に応じてメッセージを伝える手段を変えるのです。人が有効な場合、メールやビジネスレターが有効な場合、それとも外部のメディアや専門家からメッセージを伝えたほうが効果的なことだってあるのです。一つの情報ソースに頼るのが一番効率の悪い方法。顧客接点は多いほどよく、複数の接点から同じメッセージを伝えることが大切なのです。

商談中の見込客

営業マンや販売代理店によってフォローをするのが既存客や商談中の見込客をターゲットにする時の基本です。特にVIPやリピーターは営業で徹底的にフォローすべきターゲット。また高額な製品ほど人的フォローが効果的になります。Webサイトなど他の手段は補助として活用します。

接点客および休眠客

取引の途絶えた休眠顧客やコンタクトのあった接点客は見込育成が重要な施策です。それを営業がやると敬遠されやすいので高度なコミュニケーション能力が求められます。こういうときにはメールマガジンや社外報、ダイレクトメール、Webサイトなどソフトタッチの接点のほうがベターです。定期的にお役立ち情報を発信し、関心をつなぎとめたり、育てたりすることが重要。そして時には営業フックとなるキャンページやオファーを入れて商談へのきっかけを作ります。

潜在客

潜在客へのアプローチは広告宣伝や展示会、そして専門家など権威のある第3者を活用した啓蒙活動が有効です。そしてWebサイトを活用したコンテンツマーケティングも忘れてはなりません。ユーザーに役立つ情報をWebサイトに用意すること大切です。その結果としてして検索エンジンの評価が上がり、アクセスも増やせるのです。今は中小製造業でも十分に勝負ができる環境が整っています。お金をかけずにアクセスを集めることは簡単ではありませんが、一度、アクセスが集まり始めると比較的安定して成果が出続けるので長期的な視点で取り組むことが大切です。

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