生産財の購買プロセス「TiiiCA」とブランド戦略
おはようございます。
生産財業界では日常的に品質や生産性向上、コストダウンが続けられ競合力を高めています。しかし、価格と品質以外にもユーザーが考慮するのはあることを忘れてはならないのではないでしょうか。今日はその中の一つであるブランド力について考察したいと思います。
「Target(目標)」すべての企業活動は事業目標の達成に集約される
生産財の購買プロセスは「TiiiCA(ティーカ)」モデルに基づいて整理できます。その最初のステップ「Target(目標)」です。事業目標達成を目指し多くの企業活動は行われます。製品開発や営業活動など業績アップに直結する活動は当然のこと、採用や社員満足度、定着率の改善なども間接的に業績アップに貢献することを期待されています。
今回の記事のテーマは生産財購入プロセスにおけるブランド戦略なので話を戻します。
ここで重要なのが、企業の認知度です。特定の技術や製品カテゴリにおいて「この分野ならこの企業」というポジションを確立できていると、購買担当者の意識に自然と残ります。このような業界内でのブランドの確立は、購買プロセスの初期段階での優位性につながります。
「Interest(関心)」と「Investigate(調査)」における情報発信の重要性
購買担当者は、まず関心を持った分野の情報を収集し、業界トレンドや技術動向を調べます。この段階では、企業が提供する技術情報や事例紹介が、意思決定に影響を与えます。
単に多くの情報を発信するだけでなく、業界での専門性や信頼性を高めることが求められます。たとえば、専門的な知識を持つ企業が発信する技術解説や成功事例は、購買担当者の評価を高める要因になります。
「Inquiry(引合)」から「Agreement(契約)」におけるブランドの影響
購買プロセスが進み、具体的な引合や契約交渉の段階になると、企業間の信頼関係が決定的な要素になります。
このとき、業界での評価が高い企業は、単なる価格競争に巻き込まれにくくなります。すでに一定のブランド価値を持っている企業は、「信頼できるパートナー」として認識されやすく、品質や価格、アフターサービスの差が少なければ、競合企業より優先的に選ばれる可能性が高まります。最終的な契約において有利に交渉を進められます。
BtoBマーケティングにおけるブランド活用のポイント
生産財の購買プロセス「TiiiCA」とブランド戦略を組み合わせることで、BtoB企業は以下のような施策を講じることができます。
- 業界内でのブランド認知度を向上させる
- 学会や展示会での情報発信
- 技術的なホワイトペーパーや専門メディアへの寄稿
- 業界内の信頼性のある企業・団体との連携
- 情報発信の質を高める
- 製品や技術に関する専門的なコンテンツの作成
- 業界の最新動向を取り入れた情報提供
- 成功事例や試験データの公開
- 自社の専門家を活用し、信頼性の高い発信を行う
- 購買プロセスの各段階に適したアプローチを取る
- 「Investigate(調査)」段階で、業界に信頼される情報を提供
- 「Inquiry(引合)」段階で、他社と差別化できるポイントを明確にする
- 「Agreement(契約)」段階で、企業の信頼性を強みとして交渉を進める
まとめ:BtoBマーケティングにおけるブランドの役割
生産財業界では、消費財向けのマーケティングモデルがそのまま適用できないため、組織的・長期的な購買プロセスへの対応が求められます。その中で、「TiiiCA」モデルは有効なフレームワークとなります。
また、競争が激化する中で、単なる情報発信だけでは企業の優位性を確保することが難しくなっています。業界内でのブランド力を強化し、それを購買プロセスに活用することで、より効果的なマーケティング戦略を実現できるでしょう。